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「あきらめないこと」は本当に大切なのか?

メンタル指導理論

バスケットボールプレイヤーとして、日々の生活の中で、
あなたは何かを「あきらめてしまった」経験はありますか?

チームメイトやコーチ、監督と波長が合わなくて退部したり、練習が面白くなくてサボったり、試合中に20点差以上をはなされて戦意喪失してしまったり、進学を希望していた高校をあきらめたり、希望の職種への就職をあきらめたり。
誰でも一度は、あきらめた経験があるのでないでしょうか?

このテキストでは、人生において「あきらめないこと」が本当に大切なのかを疑い、あなたがこれからバスケットボールと向き合っていく上で本当に大切なことをお伝えできればと思います。

この記事を書いた人

JBA公認C級コーチ/日本スポーツ協会公認バスケットボール指導員/JBA公認E級審判員/一般社団法人バスケットボール推進会 代表理事
出身:静岡県焼津市 東洋大学 卒
大学在学中に「バスケットボールで食べていく」ことを決意。関西大手バスケットレンタルコートの事業部マネージャーとして活躍後、2015年にダイアモンドバスケットボールスクールを立ち上げる。2023年、20会場の教室を運営し、およそ700名の選手が所属する。
バスケットボール指導歴12年、バスケ初心者からジュニア選抜選手まで幅広く指導し、強豪校に進学する選手を多数輩出。

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「あきらめないこと」は本当に大切なのか?

「あきらめる」の本当の意味

「あきらめる」には2つの漢字があります。

  • 諦める:とても見込みがない、仕方がないと思い切る。断念する。
  • 明らめる:事情・理由をはっきり見定める。

日本語での「諦める」はネガティブなイメージがあって、逆にあきらめない人がポジティブな人間として捉えられます。しかし、「明らめる」の意味を調べるとネガティブな言葉ではありません。

さらに漢和辞典で「諦」を調べると、つまびらかにする・明らかにする・まこと・真理・さとり
とされており、ネガティブなイメージは一切なく、むしろ反対です。

あなたは、「あきらめる」の漢字に「明らめる」があるのをご存知でしたか?
諦めるの語源には、元々、真実を明らかにする、真相をつまびらかにすることで、やっと諦められるというニュアンスが含まれていたものの、「明らかにする」という大切な土台が抜け落ちて、仕方がないと思い切る、断念するという意味ばかりで使われるようになりました。

つまり、「あきらめる」の本当の意味は、辞めることや断念することではないのです。

渡邊雄太 選手を振り返る

出典:MBS毎日放送「情熱大陸」過去の放送

過去の放送 | 情熱大陸 | MBS 毎日放送
毎日放送(MBS)がお送りする「情熱大陸」の過去の放送一覧ページです。

2022年6月5日(日)放送の情熱大陸は、2021-2022シーズンをNBAトロント・ラプターズで活躍し、東京オリンピック日本代表キャプテンも務めた渡邊雄太 選手でした。2WAY契約でメンフィス・グリズリーズとメンフィス・ハッスルでプレーしていた時、私は現地のとある日本食レストランで渡邊選手とご一緒させていただき、NBA挑戦についてお話をお伺いしたことがありました。

「幼い頃から想い続けていたNBA選手になるという夢が、今は目標となっている。諦めずにチャレンジを続けたことで今がある。」

その言葉はとても重みがあり、説得力のあるものでした。今回の情熱大陸では自身の新型コロナウィルス感染をきっかけに出場時間が激減し、不完全燃焼でシーズンを終了したという一幕がありました。NBAという世界の厳しさがひしひしと伝わってきます。「厳しい」という言葉では陳腐かもしれません。それでも渡邊選手は以下の言葉で取材に応じています。

渡邊選手「辞めれるタイミングっていくらでもあったと思うんですけど、これまで一生懸命やってきたというのもあって……諦めるタイミングは今である必要はない。今諦めるなら、なぜあの時に諦めていなかったのか?という自問自答を繰り返して、気が付いたら体育館に向かっている。」

※番組を観た個人の記憶で書いているので、原文ママではありません。

諦めない人に共通していること

渡邊選手は、「諦めないこと」で夢を叶えました。諦めないことで、NBA選手になったのです。
そして今も、挑戦を諦めていません。

諦めずに戦う姿は、周りの人の心をつかみます。そしてファンやサポーターがいつの間にか増える。
諦めずに戦う人は、周りから応援されるのです。だから、「諦めないこと」は生きる上でとても大切なのではないかと感じます。

「あきらめる」と、どうなるのか?

スポーツのシーンでは、諦めないことの大切さを学ぶことが多いと思います。

しかし、「あきらめない」ことに関しては、前述した通りの見解もあります。
「明らめる」ことも大切だということです。

これまでの人生で、何かをあきらめたことは誰にでもあると思いますが、
諦めないことも、明らめることも、どちらも自分なりの答えを持つことが大切なのだと思います。ここで言う「明らめること」は、「真実を明らかにすること」です。

渡邊選手のように、諦めないことで、未来が拓けることもあるし
明らめることで、新たなアイディアが浮かんでくることもある。
いずれも、「あきらめ」によって未来が拓かれると言えるのです。

あきらめることは悪いことなのか?

ネガティブなイメージで扱われやすい「あきらめること」ですが、
私は、あきらめることは悪くないと考えます。

問題なのは、「思考を停止させること」です。

目の前で起こる都合の悪いことについて逃げず考え、物事の本質を明らからにした後で、諦めることが大切です。明らめると諦めるはセットであることが好ましいと思います。

あきらめた先に未来があるのは、思考を停めずに次のステージへの挑戦を続けるからだと思います。
諦めずに戦い続けることは素晴らしいですが、都合の悪いことに対して考える力があってこそ、夢や目標は叶うと思います。

最後に

結局、諦めないことは大切です。
しかし、その言葉だけを汲んでしまうのは少々危険な気がします。諦めないことが、時に人を精神的に追い込んでしまうこともあるからです。

人生も、バスケットボールも、思うようにいかないことの方が多い。
だから、諦めないことよりも、なぜ思うようにいかないのかを明らかにしていきましょう。

きっと、過去に明らめた人たちは、今、次のステージで諦めずに戦っています。
新たなステージでも、物事を明らかにして切り拓いていく。これこそ人生であると思うのです。

生きている限り、誰もが正解の無い旅を続けます。
幾度となくおとずれる分かれ道を、自らの意志で選ぶのです。

だからこそ、自らの身に起こるすべてのことに対して、
戦っている今をとことん楽しむ、その瞬間が幸せなのではないかと感じます。

渡邊選手が番組終盤で、「挑戦のすべてを楽しむ」という言葉を残していますが、
それが本質なのではないでしょうか?

私も、バスケットボールの挑戦を続けます。

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