あなたは日常生活の中で、挨拶(あいさつ)を欠かさず行っていますか?
子どもの頃、両親から「人と会ったら、ごあいさつしようね」と言われて育った方は多いと思います。あなたが自然と挨拶ができるのは、過去に両親の教育と、教育機関及び就職後、民間企業等のサポートがあるからでしょう。
このテキストでは、今一度、挨拶をなぜしているのか?ということを考え、「挨拶は、本当に必要なのか?」を探り、挨拶の本質に迫りたいと思います。
- 「挨拶(あいさつ)しなさい」の本質を学びます
- 挨拶は本当に必要なのか、このテキストで考えてみましょう
挨拶(あいさつ)は、なぜするのか?
それでは、挨拶の基本的なことを学んでいきましょう。挨拶はなぜするのか?を以下にまとめました。
武器を持っていない証拠
日本人にとっては驚くべき事実ですが、挨拶の起源は、「武装解除」だと言われています。
「私は武器を所持していません」「あなたに敵意はありません」そういった意味が込められています。
日本では挨拶の際にお辞儀をすることが習慣化されているため、あまり馴染みがありませんが、欧米の挨拶のシーンでは握手を欠かさずに行っています。握手には、武装解除の意味が込められているのです。
お辞儀はどうでしょうか?両手のてのひらを体側に向け、人間の最も大切な「頭を差し出す」行為は、「あなたを信頼しています」という意思表示となるのです。
しかし、あなたが日常的に行っている挨拶は、上に述べた目的では行っていないでしょう。挨拶は次のような目的を持つと言われています。
コミュニケーションの入り口
社会は、人の力で成り立っています。人と人とがお互いを信頼し、協力しあうことで、ひとりでは成し遂げられないことでさえ可能にしていきます。
あなたが周囲にいる人に認められるためには、スキルに加えて、コミュニケーション力が必須です。あなたが他人とコミュニケーションを図ろうとする時、最初にしておくべき行動が「挨拶(あいさつ)」です。
あなたが考えていることを伝える時、まず話し相手にあなた自身を受け入れてもらう必要があります。
挨拶の起源が「武装解除」であるように、話し相手に安心感や信頼感を与えることができなければ、あなたの考えがいくら正しくても、相手は受け入れることができないかもしれません。
つまり、挨拶はコミュニケーションの入り口であり、挨拶なしでは、相手はあなたを受け入れる準備ができず、コミュニケーションは円滑に進みません。
体調の確認
朝起きたら、両親に「おはよう」と挨拶をしますね。学校に行けば、先生やお友達に「おはようございます」「おはよう」など、お互いに挨拶をすることでしょうし、会社に出勤したら、同期や上司に「おはようございます」「お疲れ様です」など挨拶をしていることでしょう。
この時、相手の声が小さかったり、元気がなかったらあなたならどのような声掛けをしますか?
「大丈夫?」「風邪ひいていない?」「何かトラブルがあったの?」というように相手に確認をすることができます。そして、お互いに普段と変わらないことを確認し、今日という日において、安全や安心を認識できるのです。
些細な事かもしれませんが、非常に大切なことであり、挨拶にはそのような役割もあるということは是非覚えていただければと思います。
周りの人たちへの感謝
バスケットボールで考えてみましょう。あなたが、あなたのチームの一員として試合に出場するためには、以下の条件がそろう必要があります。
- 朝食を作ってくれる親がいる
- 親が会場まで送迎してくれる(公共の交通機関を使って自分で行く場合も、交通費は親が負担しています)
- ユニフォームやソックス、バスケットボールシューズ、ボール、タオル、水筒などの必需品が揃っている
- コーチ・監督がチームをサポートしてくれる
- 審判(レフリー)があなたのプレーをジャッジしてくれる
- プレーする仲間があなたを含め5人以上いる
- 相手チームが5人以上揃っている
- チームが大会出場に至るまでの経費(出場料等)を親が支払っている
※個々の境遇によりこればかりではありません
あなたが当たり前のように、ティップオフの瞬間をコート上で待つ時、これだけのサポートがあることを忘れてはなりません。
サポートしてくれる周りの人たちに感謝の気持ちを込めて、試合前は両チームお互いに整列し「お願いします!」と挨拶をし、試合が終われば「ありがとうございました!」と勝敗に関わらず大きな声で挨拶をする必要があるのです。それは対戦相手だけではなく、先に述べたすべてのサポーターへあなたが贈る感謝のメッセージです。
オリンピックやワールドカップの試合前に、国歌斉唱があります。国としての権威を表したり、国家としてのアイデンティティを世界に表現するために行われているということですが、私個人的には、自国への感謝の気持ち(恩返しに似た気持ち)を表すために行っているのだと捉えています。
自国に生まれ、育ち、自国を代表して他国と戦う前の、これまでの軌跡に感謝をする気持ちを表すことは大切だと思います。
当たり前への感謝
あなたが今日の朝、起きられたことも、食事ができたことも、朝日を浴びることができたことも、学校に行けることも、授業を受けられることも、給食を仲間と食べられることも、放課後にお友達と遊べることも、塾に行けることも、バスケスクールへ通えることも、すべては当たり前のようで、当たり前ではありません。
周りの人たちの支えによって、それがあたかも、当たり前に行えているように感じるのです。
私は、挨拶することの本質はそこにあるのだと思います。何気ない日常生活でも、当たり前のことに対して少し時間を使って、考えてみましょう。それは、とても“有難い(ありがたい)”ものなのかも知れません。
「ありがとう」の意味
普段から、感謝の気持ちを述べる言葉として使っている、「ありがとう」。漢字で書くと「有難う」です。これは、“有ることが難しい”という意味で、=”当たり前ではない”ということです。
「ありがとう」は、挨拶のひとつです。人からありがとうと言われると、なんだか嬉しい気持ちになります。あなたにとって当たり前のことだとしても、相手にとって有難いことであれば、きっとありがとうの言葉をもらえると思います。
また、あなたが周りの人へ感謝の気持ちをもって「ありがとう」と伝えれば、あなたの気持ちは、きっと相手に届き、あなたの「ありがとう」は、周りの人を幸せにできる力があると思います。
当たり前のレベルを上げる
豊かな生活をしていく上では、当たり前のことに感謝できる心を持つことに加えて、あなたが当たり前だと思えるレベルを上げていくことも大切です。
それは、あなた自身でコントロールできる部分についてです。例えば、あなたがバスケットボールをする子どもでれば
- 早寝、早起きが当たり前
- 朝は自分で起きられるのが当たり前
- 身支度は自分でするのが当たり前
- 学校へは定刻前に登校するのが当たり前
- 宿題は提出するのが当たり前
- 授業は集中して臨むのが当たり前
- 給食は残さず食べるのが当たり前
- テストは90点以上をとるのが当たり前
- バスケの練習は集中して全力で取り組むことが当たり前
- 寝る前にストレッチをすることが当たり前
- 1日8時間以上の睡眠を確保することが当たり前
- 寝る前はスマホやYouTubeを観ないことが当たり前
など、あなた自身の意識や努力で当たり前にできることを増やせば、あなた自身にとってもより良い生活ができると思います。
あいさつの種類
あいさつの種類はたくさんあります。かつて、【ひらけ!ポンキッキ】に、「ごあいさつのうた」という楽曲がありました。今聴いても楽しい楽曲ですので是非ご覧ください。
※【ひらけ!ポンキッキ】アルフィー/池田典代「ごあいさつのうた」YouTubeから引用
おはよう
「おはよう、元気ですか?」「おはようございます」
主に早朝から正午にかけて、人に会った時に使います。
おやすみ
「おやすみ、また明日」「おやすみなさい」
寝る前に、家族や友人など一緒にいる人に使います。夜も遅い場合、人との別れ際にも使えます。
こんにちは
「こんにちは、元気ですか?」
主に正午前から夕方にかけて、人に会った時に使います。
こんばんは
「こんばんは、今日もお疲れさまでした」
主に夕方から夜にかけて、人に会った時に使います。
行ってきます
「行ってきます」
お家からどこかへ出かける時、両親や兄弟に対して使います。
行ってらっしゃい
「気をつけて、行ってらっしゃい」「行ってらっしゃいませ」
お家から出かける家族に使います。旅立つ友人や恋人に使うこともあります。
ただいま
「ただいま」
お家に帰ってきた時に、家族に対して使います。
おかえりなさい
「おかえり」「おかえりなさい」「おかえりなさいませ」
お家に帰ってきた家族に対して、留守番していた家族が「ただいま」に対して使います。「ただいま」が無くても、「おかえりなさい」を先に言う事もあります。
いただきます
「いただきます」
食事を摂る前の挨拶です。合掌して、いただく命に感謝をしながら使います。
ごちそうさま
「ごちそうさま」「ごちそうさまでした」
食事を終えた時の挨拶です。合掌して、いただいた命に感謝をしながら使います。
ありがとう
「ありがとう」「ありがとうございます」「ありがとうございました」
人に何かをしてもらった時、感謝の気持ちを込めて、お礼の想いを込めて使います。
さようなら
「さようなら」「さよなら」
一緒にいた人とその日別れる際に使います。
ごぶさたしています/久しぶり
「ごぶさたしています」「ごぶさたしております、お元気でしたか?」「久しぶり、元気だった?」
しばらく会っていなかった知り合いや友人、会社の取引先など、すべての人に使うことができます。「ごぶさたしております」はかしこまった言い方。「久しぶり」は友人などの慣れた相手に使いましょう。
はじめまして
「はじめまして、〇〇(名前)と申します」
はじめて会う人に使います。
よろしく
「よろしく」「よろしくおねがいします」
相手と何か約束をしたり、一緒にゴールへ向かう時などに使います。ビジネスシーンではメールの締めの言葉として使われることが多いです。
おじゃまします
「おじゃまします」
他人の家に上がる時に使います。
いらっしゃい/ようこそ
「いらっしゃい」「いらっしゃいませ」「ようこそ」
お家に来た客人に対してや、お店の店員がお客様を迎え入れる時に使います。
しつれいします/しつれいしました
「しつれいします」「しつれいしました」
学校では職員室など目上の人がいるフロアや部屋に入る前に使います。出る際には「しつれいしました」と伝えるとより丁寧です。
おいとまします
「おいとまします」
現代ではあまり聞かない挨拶ですが、訪問先などでその場から去る時に使います。懇親会など会社の飲み会でも使うことができます。
あいさつは、必要なのか?
時代がどのように変化したとしても、挨拶(あいさつ)は必要、これがこのテキストでの「答え」です。しかし、人に対して強要するものではない、ということは理解していただく必要があるかと思います。
あくまで自主的にするもの
挨拶は、あくまで自主的にするもの。前述した「なぜ、あいさつをするのか?」ということに自ら気付くことができた時、人は自然と挨拶をしたくなるのだと思います。
子どもがなかなか挨拶ができない理由はここにあるのだと思います。大人の皆さんからすれば、挨拶をすることが当たり前であるし、挨拶のできる人と出会うと気持ちよくコミュニケーションができます。
子どもが挨拶ができない理由としては、「なんだか恥ずかしい」「親や周りに挨拶しなさいと言われ過ぎている反発」があります。たいていの子どもは、大人に理由も告げられずに挨拶をしなさいと言われいるケースが多く、挨拶の本質を理解していません。
学校では挨拶を習慣づけるように教育していく必要はあると思いますが、大人たちはぜひ、なぜ挨拶をするのか?ということに触れ、子どもを導いてあげることが必要かと思います。
社会に出れば必要不可欠
子どもの時に挨拶ができなくても、社会に出てから挨拶ができない大人がいたとすれば問題です。
社会で生きていく上で、人と人との付き合いを断つことはできません。人との付き合いの中で、挨拶は必要不可欠であることは知っておいた方が良いでしょう。
相手に気持ちを伝えよう
話し相手に自分の気持ちを伝えるスキルは、生きる上で非常に大切です。
バスケットボールでは、チームメイトに自分が考えていることを伝えることで、チーム内で自分の居場所を確保できるようになるでしょう。お友達とケンカした時も、仲直りには自分の素直な気持ちを伝えることが必要になります。好きな人に興味を持ってもらい、告白する時もこのスキルは必要です。
しかし、相手側が、あなたの話す言葉を聞く準備が整っていなければ、気持ちは伝えたくても伝わりにくくなってしまいます。
そんな時も、相手に興味を示してもらい、コミュニケーションを円滑にするための手段のひとつが挨拶(あいさつ)であることをお伝えして、このテキストは終了したいと思います。
まとめ
挨拶(あいさつ)の重要性について解説させていただきました。
今日から、周りの人や物に感謝の気持ちを持って、気持ちの良い挨拶をしていきましょう。