あなたが、学校の先生でも無く、ミニバスや部活動の外部講師でも無い、バスケットボールスクールの指導者または運営者という立場でこれから活動をはじめようとしているのならば、是非とも最初に読んでおいてほしい内容になります。
このテキストでは、すべてのスポーツ指導者に共通することと、バスケットボールスクールにしかない、指導者や運営者にとって乗り越えなければならない壁などの例を挙げていき、あなたがこれからバスケットボールスクールコーチとして末永く活動していくための一助となればと考え綴ってまいります。最後まで読んでいただければ幸いです。
指導者にとってのバスケットボールスクールとは?
バスケットボールコーチにとってのバスケットボールスクールでの活動は、本当にやり甲斐に満ち溢れいているものです。スクール活動は習い事のジャンルに属するので、基本的に1クラス(1会場)週1回の活動ではありますが、ミニバスやクラブチーム、部活動を担う指導者と同様、あなたは素晴らしい体験をすることになります。
選手たちの笑顔と触れ合える
子どもたちは、とにかくパワフルです。元気です。そんな子どもたちと一緒に体育館にいるだけで、こちらまで元気になれます。そこであなたが子どもたちに伝えるスポーツは、あなたが愛してやまないバスケットボールです。あなたの経験と知識をフルに使って、子どもたちが伸び伸びとチャレンジできる環境をあなた自身で作り出し、最高のバスケコミュニティを作りましょう。
選手の成長を最前列で感じることができる
子どもたちは、スクールというコミュニティへの所属と練習を通じて本当にたくさんの「失敗」をします。チャレンジしているからこそ、数え切れないほどの失敗をします。同じ失敗を繰り返すこともあります。
その時、あなたがどのようにその選手をサポートするか、どのように声掛け(導き)をしていくかによって、後の選手の「思考」や「行動」に変化が現れます。指導者は、失敗を繰り返しながら少しずつ成長していく選手の姿を、最前線で見て感じることができます。
週1回の練習が基本となるバスケットボールスクールでは、指導者は子どもの私生活のほんの一部にしか関与することができません。この点で、ミニバスやクラブチーム、部活動と違って非常に難しいところです。それでも選手や保護者に良い影響を与えることるができれば、あなたはすでにプロの指導者と認められているはずです。
指導者自身が大きく成長できる
バスケットボール指導者は、絶えず知識量を増やし、自らをアップデートしていく必要があります。
また、知識を増やすだけではなく、それを選手や保護者に還元することで評価を得ていきます。
スポーツ指導者としての経験を積んでいく過程で、ものごとを論理的に考えたり、人前で話すことが上手になったり、相手にシンプルにわかりやすく伝える力に磨きがかかります。
つまり、スポーツ指導者になり、インプットとアウトプットを繰り返し続けることで、あなた自身を大きく成長させることができるのです。
社会に貢献できる
バスケットボールスクールの活動は、SDGsでも掲げられている「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」を実現していくための、まさに直接的な社会貢献活動です。あなたの一挙手一投足が、未来を担う子どもたちに影響を与えることに責任を持ち、真摯に取り組むことで未来につなげていくことができます。
素晴らしい指導者は、選手や保護者から感謝されます。お金をいただいて指導している立場でありながら感謝されるというのは、お金以上の価値を提供できた結果です。周りの環境に感謝しながら、感謝される指導者を目指しましょう。
運営者にとってのバスケットボールスクールとは?
さて、ここまでは指導者にとってのバスケットボールスクールという目線でお話をしてきました。
ここからは、運営者(事業者)にとってのバスケットボールスクールについてお伝えしていきます。
※選手・保護者の方は読まないほうが良いかもしれません……
【課題その1】会場の確保
1つめの課題は、体育館の確保です。
毎週同じ曜日に、同じ時間。他のスポーツ団体も使っている室内の体育館を確保していくというのは至難の技です。多くのバスケットボールスクールは、毎月決められた日程で施設の抽選予約に参加したり、先着順で申し込みができる枠に予約を入れたりなど、練習日の確保に四苦八苦しています。
習い事として月4回でお月謝の設定をしている場合は、練習日が減ってしまうことで保護者からの信頼が損なわれるリスクもありますし、一番は、練習の機会を子どもに与えられないことが問題です。
運営者は根気強く、施設の確保をしていく覚悟が必要になります。
【課題その2】選手の確保
2つめの課題は、選手の確保です。
会場が確保できて、スクールをはじめる準備ができても、受講してくれる子どもたちが会場に来てくれない限りは活動できません。WEBページやSNSを活用して集客することは可能ですが、事前にマーケティングしておく必要はあります。また、最初は1人や2人だったとしても、自分の教室を選んで来てくれたことに心から感謝し、継続して活動していくことで徐々に存在が知れ渡っていくことも多いので、諦めずに集客していくことが大切です。
【課題その3】人材の確保
3つめの課題は、人材(指導者)の確保です。
自分のスクールは、自分だけで運営していくと決めている場合は別ですが、バスケットボールスクールを運営していく上で、指導者が確保できないことは大きな問題です。指導者が病気にかかったり、急遽指導の現場に入れなくなることもあります。そのような自体に備えて、指導者は自分を合わせて2名以上は常に確保しておくことが大切です。
【課題その4】人材の育成
4つめの課題は、人材(指導者)の育成です。
バスケットボールコーチを志す人の大半は競技経歴を持っていますが、それはあくまで自らが選手側であった経験で、指導者としての経験ではありません。
前述した通り、指導者自身の人間的な成長が、選手の成長につながります。経歴やスキルがあったとしても社会性に乏しかったり、指導に関して主体性をもって臨めないようでは指導現場で活躍はできないでしょう。運営者は自団体に関わる指導者の育成も、選手の育成と同時に行っていく必要があります。
【課題その5】経費(コスト)が想像以上にかかる
5つめの課題は、コストについてです。
バスケットボールスクールの経費のイメージは主に「会場代」ではないでしょうか?会場代を差し引けば、月謝×会員数がほとんど収益となるようなイメージをお持ちの方が多いと感じます。
活動場所の選び方にもよりますが、会場代は月数千円から数万円まで様々です。安く借りられる会場があれば良いですが、そのような施設は往々にして「営利活動を禁止」しています。(学校施設も基本は✕ですよね)※自治体によってルールが違うので、すべてではありません。OKな施設もあります。
私が運営しているスクール会場で最も会場代が高いのが、54,000円(税込)/月です。例えばですが、お月謝5,500円(税込)で20名所属選手がいたとしても半分を経費でゴソっと抜かれてしまいます。これにプラスして、指導者の交通費・人件費(最低賃金だとしても月15,000〜20,000円程は必要です)、指導者を2名入れればその倍額がかかります。また、収益に対して税金がかかったり、指導者を雇用していれば社会保険料が加算されたり、社員として採用していれば年金保険料が上乗せされたりしますよね。まだ他にもかかるコストはありますが、このあたりの現実とリアルに向かい合っていく必要があるのです。
副業としてスクール事業を行うのであれば、コストのバランスはあまり気にならないかもしれませんが「これで生きていく」と覚悟を決めれば、思った以上に様々なコストが見えてくるのです。
【課題その6】維持・継続させること
なにごとにも言えますが、一度はじめたことは継続させることが大切です。
進める中で見えてくる様々な課題を克服して、目の前の現実と戦いながらコミュニティを大きくしていく。これが一番大変なことだと思います。
子どもたちは純粋に、バスケットボールを楽しみます。いつまでもそこにコミュニティがあるかのようにバスケットボールを楽しみます。でも、それは子どもにとって当然のこと。保護者(お客様という目線が必要)にとってもまた当然と思うようなことです。
でも、あなたが諦めてしまったら、子どもたちにとって当たり前だった環境が無くなってしまう。
だからバスケットボールスクールを運営し続けること自体を、あなたの「当たり前」にしていく必要があります。
バスケットボール界に貢献できる
バスケットボールスクールを運営し続けることで、あなたの活動は競技を普及させ、バスケ人口を増やすことにつながっています。つまり、直接的にバスケットボール界に貢献していることに間違いありません。またその規模は関係ありません。
私は、私のような「バスケットボールで、食べていく」という人生を歩むような冒険家が増えることを望みますし、学生時代にお世話になったバスケットボールに恩返しがしたいという想いで、本業のお仕事をしながらスクール活動に携わる方も増えています。
あなたも、このテキストを読んで、指導者・運営者としての一歩を踏み出していただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。