バスケットボール初心者だけでなく、ミニバスや部活動などで日々練習に励む小学生から中学生の所謂「育成年代」において、将来的に飛躍できる選手へと育てるために、コーディネーションを活用した練習を多く取り入れることはとても大切です。
指導者はときに、目先の勝ち負けにこだわってしまうことがあります。しかし、選手の将来を真剣に考え、コーディネーション能力を適切な時期に適切に伸ばしてあげることができるコーチングは、その選手にとってかけがえのない“生涯の宝物”になる可能性があります。このテキストでは、初級向けのコーディネーションドリルをご紹介します。
初級向けコーディネーションドリル6選
U12(12歳以下)向けのコーディネーションドリルをご紹介いたします。U15でもバスケットボール初級者は活用できるドリルです。
【その1】かえるびょ〜ん
両手でボールを地面に1度ドリブル(パワードリブル)したら、キャッチとほぼ同時に両足ジャンプします。かえるが飛び跳ねるように行ってください。「ボールをつく」→「ボールをキャッチする」→「ジャンプする」→「着地する」→「ボールをつく」このひとつひとつの動作の連動性が必要になります。
【その2】ボール止め
ボールを転がしたら、転がるボールを追いかけて先回りし、ボールを止めます。お尻で止めたり、足で止めたりなどバリエーションをもたせます。ボールをどのくらいの速さで転がせば良いのか?どのくらいの速さで走れば追い抜けるか?どのくらい追い抜けば、無事にボールをキャッチできるか?などのコーディネーション能力が問われる練習です。
【その3】ドリブルジャンプ(同時・交互)
最初に、両足ジャンプに合わせてドリブルを同時につきます。次に、ジャンプした時(自分の体が空中にある時)にボールが地面につくようにドリブルします。ボールと体がチグハグに動くため想像以上に難易度が高いトレーニングです。
【その4】ドロップキャッチ
ペアは両手でボールを持ち、プレイヤーの顔の前にボールを差し出します。プレイヤーはボールの上から両手をかざし、ボールがペアの手からはなれた瞬間に落ちていくボールをキャッチします。反応速度を上げるトレーニングです。
【その5】360°回転ジャンプ
ボールを両手で持ったまま、一回転ジャンプします。着地したら、反対側へ一回転ジャンプします。バランスを崩さずに何回ジャンプできるかチャレンジしましょう。着地後にシュートを打つという練習を行うこともおすすめです。
【その6】オフボール&オンボールサークル鬼ごっこ
コートのセンターサークルを使って行う鬼ごっこです。曲線上を走るというバスケットボール特有の動きで負荷がかかるので、フットワーク強化にも最適です。
おすすめの指導教材
日本バスケットボール協会が公式で出版されているこちらのDVDでは、育成年代に必要なコーディネーショントレーニングメニューが紹介されております。指導者の皆さまは是非ご購入をご検討ください。
良いトレーニングとは?
コーディネーショントレーニングにおける良い状態とは、「完璧にできていない状態を続けること」です。コーディネーショントレーニングは、あくまで「トレーニング」です。はじめから完璧にできてしまうのであれば、より難しいドリルにチャレンジしていくべきです。選手には、できそうで、できていない状態を続けさせてあげることで能力を効率的に最大限まで引き伸ばすことができると思います。
反対に、全くできない状態はあまり良くありません。なぜかと言えば、運動に対する苦手意識が育ってしまうからです。運動が好きになってもらうこと。「できた!!」という瞬間に出会わせてあげることで、次のチャレンジへの意欲が湧き出てきます。
選手それぞれに、最適なレベルのトレーニングを提供できるコーチングを目指しましょう。
まとめ
バスケットボール初級向けコーディネーショントレーニングをご紹介させていただきました。
あなたが子どもの頃、「昨日できなかったことが、今日になってできるようになっていた」という経験ありませんか?子どもはスポンジのような吸収力をもって様々なことを身に着けていきます。
そのような経験をより多くさせてあげるために、コーディネーショントレーニングは必須です。是非、日々の練習の中に取り入れてみてください。