バスケにおけるペリメーターとは、スリーポイントラインの外側とその周辺部分を指します。
現代バスケットボールでは3ポイントシュートの価値が高まり、ペリメーターでの攻防が試合の勝敗を分けるポイントになっているのです。
このテキストでは、バスケ初心者の方や保護者向けにペリメーターの基礎知識からディフェンス戦術、実践的なスキルアップ法まで徹底解説します。
バスケットボールをより深く楽しみ、上達するための参考として、ぜひ最後までお読みくださ。
- ペリメーターディフェンスの効果的な戦術を学ぶことができます
- ペリメーターでのプレースキルを学ぶことができます
バスケットボールのペリメーターの基本知識

バスケットボールにおけるペリメーターは、試合展開や戦術を理解するための重要な用語のひとつです。
ここでは、ペリメーターの基本知識から、バスケットボールにおけるその重要性までを詳しく解説します。
基本を押さえることで、試合観戦や練習の質が大きく向上するでしょう。
バスケのペリメーターの定義と範囲
バスケにおけるペリメーターとは、主にスリーポイントラインの外側とその周辺部分を指します。
「ペリメーター」は英語で「周囲」「外周」という意味があり、バスケットボールではゴール(バスケット)から離れた外側の領域を表します。
バスケットボールコートの中心部分(ペイントエリアやゴール付近)と比べると、ペリメーターはより広いスペースがあり、シュートを打つ距離が長くなる特徴があります。
このエリアではシューターやドリブラーといったプレーヤーが活躍することが多いです。
日本バスケットボール協会の規格によると、一般的なバスケットボールコートでは、スリーポイントラインはゴールから6.75メートル(NBA規格では7.24メートル)の距離に引かれています。
このラインより外側がペリメーターの主要部分となるのです。
ペリメーターとミドルレンジの違い
ペリメーターとミドルレンジは混同されやすい概念ですが、明確な違いがあります。
ミドルレンジはペイントエリア(制限区域)の外側からスリーポイントラインの内側までのエリアを指します。つまり、2ポイントシュートの範囲内で、ゴールから少し離れた位置です。
一方、ペリメーターはスリーポイントラインの外側とその周辺を指します。両者の違いは主にゴールからの距離と得点の価値にあります。ミドルレンジでのシュートは2点、ペリメーターの外側からのシュートは3点となります。
プレースタイルも異なります。ミドルレンジではポストプレーヤーがフェイダウェイシュートを打ったり、ピックアンドポップで飛び出してきたビッグマンがジャンプシュートを放ったりすることが多いです。
対してペリメーターではガードやスモールフォワードがスリーポイントシュートを狙ったり、ドライブからのキックアウトパスを受けてシュートしたりするプレーが多く見られます。
なぜバスケでペリメーターが重要なのか
バスケットボールでペリメーターが重要視される理由はいくつかあります。
まず、現代バスケットボールは「スペーシング」という概念が非常に重要になっています。
スペーシングとは、オフェンス側のプレーヤーがコート上で適切に間隔を取ることで、ディフェンスを広げ、ドライブコースやパスコースを確保する戦術です。
ペリメーターに優れたシューターを配置することで、ディフェンスはそのプレーヤーからは離れられなくなります。その結果、インサイド(ゴール付近)のスペースが生まれ、ドライブやポストプレーが成功しやすくなります。
また、3ポイントシュートは2ポイントシュートより効率が良いケースが多いです。
バスケットボールの統計分析によると、3ポイントシュートの成功率が33.3%以上あれば、2ポイントシュートの成功率が50%の場合と同等の期待得点になります。
つまり、ペリメーターからの攻撃が上手くいけば、効率よく得点を重ねられるのです。
さらに、ペリメーターはディフェンスの要でもあります。ペリメーターディフェンスが崩れると、ドライブやパスからインサイドを攻撃され、簡単に得点を許してしまいます。
そのため、ペリメーターでの守備力も現代バスケでは非常に重視されています。
ペリメーターディフェンスの理解と実践方法

ペリメーターディフェンスは現代バスケットボールにおいて勝敗を分ける重要な要素です。
3ポイントシュートの価値が高まった現在、外側からの攻撃を効果的に防ぐ戦術や技術が求められています。
ここでは、ペリメーターディフェンスの基本から実践方法まで詳しく解説します。
ディフェンスの基本戦術
ペリメーターディフェンスの基本戦術は、シュートとドライブの両方を防ぐことです。ペリメーターでの守備では、まず適切なディフェンスの姿勢が重要になります。
低い姿勢で膝を曲げ、足を肩幅より少し広めに開き、重心を下げます。この姿勢によって素早い方向転換が可能になります。
ハンズアップも基本中の基本です。手を上げることでパスコースを制限し、ボールマンのシュートも防ぎます。特に3ポイントシューターに対しては、シュートモーションを妨げるために常にハンズアップを心がけましょう。
さらに、ボールマンだけではなく他のオフェンスを視野に入れることも重要です。ボールだけを見ていると、背後からのスクリーンに引っかかりやすくなります。もちろんディフェンス間の声がけは必須です。
ボールマンから目を離しすぎると、ボールの動きに対応できません。両方を見ることで、全体の状況を把握できます。
また、ディフェンスの基本として「ボールプレッシャー」があります。ボールを持っている相手に対して適切な距離でプレッシャーをかけることで、相手のパスやドリブルを制限します。
ただし、あまり近づきすぎるとドライブを許してしまうので、相手のスキルレベルに応じた距離感が重要です。
効果的なディフェンスのポジショニング
効果的なペリメーターディフェンスには、正しいポジショニングが不可欠です。
ディフェンスの立ち位置は、守る相手によって変わります。3ポイント専門のシューターに対しては、より密着したディフェンスが必要です。
逆にドライブが得意な選手に対しては、少し間隔を空けながらもドライブコースを制限するポジショニングを取ります。
ヘルプディフェンスの概念も理解しておきましょう。
自分のマークする選手がボールから離れている場合、ボールマンとゴールの間に位置取り、チームメイトを助ける準備をします。このとき、自分のマークする選手とボールマンの両方が視界に入るポジションを取ることが重要です。
ウィークサイド(ボールから遠い側)のディフェンスは、ペイントエリア寄りにポジションを取ります。これを「ヘルプサイドポジション」と呼びます。
このポジショニングにより、ドライブに対するヘルプが素早く行え、また素早く自分のマークに戻ることも可能になります。
バスケットボールの指導書によると、効果的なペリメーターディフェンスでは、自分のマークから「腕1本分」程度の距離を保つことが理想とされています。
この距離感により、シュートに対応しながらもドライブを防ぐことができます。
一般的なディフェンスの種類
バスケットボールには様々なペリメーターディフェンスの種類があります。
- マンツーマンディフェンス
- ゾーンディフェンス
- マッチアップゾーン
- スイッチディフェンス
最も基本的なのは「マンツーマンディフェンス」で、各プレーヤーが特定の相手を担当して守る方式です。マンツーマンでは個人の責任が明確で、ペリメーターの守備力が直接試合の結果に影響します。
「ゾーンディフェンス」はコート上の特定のエリアを守る方式です。
一般的なのは2-3ゾーンや3-2ゾーンなどです。ゾーンディフェンスでは、ペリメーターの守備担当者が少なくなるため、3ポイントシュートを許しやすいデメリットがあります。
しかし、インサイドを固めやすいというメリットもあります。
「マッチアップゾーン」は両者の中間的な守備方式です。
基本的にはゾーンディフェンスの位置取りをしながらも、攻撃側の動きに応じてマンツーマン的に対応します。このディフェンスは相手のオフェンスを混乱させる効果がありますが、チーム全体の連携が不可欠です。
その他にも「スイッチディフェンス」があります。
これはスクリーンやカットに対して、ディフェンス側がマークする相手を交換する戦術です。NBAでは「スイッチングディフェンス」として多くのチームが採用しています。
この戦術により、ペリメーターでの守備の抜け道を作らず、シームレスな防御が可能になります。
バスケのペリメーターでのプレースキル向上法

ペリメーターでのプレー技術を高めることは、現代バスケットボールで活躍するために不可欠です。
3ポイントシュートの重要性が増す中、外側からの攻撃スキルを磨くことで、チームに大きく貢献できます。
ここでは、バスケのペリメーターでのプレースキルを向上させるための具体的な方法を紹介します。
シュートの練習方法
ペリメーターシュートを向上させるためには、効果的な練習が欠かせません。
まず基本となるのは「スポットアップシューティング」です。コートの5か所(両コーナー、両ウィング、トップ)に立ち、各場所から10本ずつシュートを打ちます。
リズムよく、かつフォームを一定に保ちながら行うことがポイントです。
「ムーブシューティング」も効果的です。
パスを受けてからすぐにシュートを放つ動作を練習します。味方からパスを受け、キャッチと同時にシュートモーションに入ります。実践に近い形でシュート感覚を養えます。
「1ドリブルプルアップ」は、ディフェンスに対応するための練習です。
パスを受けた後、1歩ドリブルしてからジャンプシュートを放ちます。ディフェンスがクローズアウト(シューターに急接近する動き)してきた際に有効な技術です。
中学・高校のバスケットボール指導者によると、3ポイントシュートの練習では「フォームの一貫性」と「リリースポイントの高さ」が重要です。
ボールを頭上からリリースすることで、ブロックされにくくなります。また、脚の力を使ってシュートすることで、長距離からでも安定したシュートが打てるようになります。
ペリメーターからのドライブについて
ペリメーターからのドライブは、ディフェンスを崩す重要な武器です。
ドリブルやドライブのテクニックには、以下のようなものがあります。
- クロスオーバードリブル
- ヘジテーションドライブ
- スピンムーブ
基本となるのは「クロスオーバードリブル」です。
素早くボールを左右に切り替えることで、ディフェンスのバランスを崩し、抜き去るテクニックです。始めはゆっくり練習し、徐々にスピードを上げていきましょう。
「ヘジテーションドライブ」も効果的です。
一瞬ドリブルの動きを止め、シュートを打つようなフェイントを入れてから素早く抜けます。このフェイントによってディフェンスが反応した隙を突くテクニックです。
「スピンムーブ」は体を回転させながらディフェンスを抜き去る技術です。
ドライブ中にディフェンスが近づいてきたら、素早く体を回転させて逆方向に抜けます。このテクニックは非常に効果的ですが、ボールコントロールが難しいため、十分な練習が必要です。
ドライブテクニックを向上させるには「ボディコントロール」が重要です。
重心を低く保ち、上半身と下半身を別々にコントロールする能力を磨くことで、ディフェンスを効果的に抜き去ることができます。
また、ドライブ中は常に頭を上げ、パスを出せるチームメイトを見る習慣をつけることも大切です。
必要な基礎スキル
ペリメーターで活躍するプレーヤーには、特定の基礎スキルが必要です。
- ボールハンドリング
- パス技術
- オフボールムーブメント
- フットワーク
まず「ボールハンドリング」が最も重要です。様々なドリブル練習(フィガーエイト、両手交互ドリブル、ビハインドバックなど)を日常的に行い、ボールを自在に操る技術を磨きましょう。
「パス技術」も欠かせません。特にドライブからのキックアウトパスや、素早いスイングパスなど、ペリメーターでの連携に必要なパス技術を練習します。正確さとタイミングが重要です。
「オフボールムーブメント」も重要なスキルです。
ボールを持っていないときの動き方を学び、スクリーンを使った動きやカットインなどでフリーになる技術を身につけましょう。常に動き続けることで、ディフェンスに対して優位に立てます。
「フットワーク」はあらゆるプレーの基礎となります。素早いステップワークやピボット技術を練習することで、ディフェンスの対応力や攻撃時の選択肢が広がります。短い距離での素早い方向転換を繰り返し練習しましょう。
ペリメータープレーヤーの育成には「判断力」を養うことも重要です。
シュートを打つべきか、ドライブすべきか、パスを出すべきかといった判断を瞬時に行う能力は、実戦形式の練習を通じて身につけていくことができます。
バスケにおけるペリメーターの戦術的重要性と試合分析

バスケットボールにおけるペリメーターの戦術的重要性は、近年ますます高まっています。
3ポイントシュートの価値が再評価され、ペリメータープレーを中心とした戦術が主流になりつつあります。
ここでは、バスケにおけるペリメーターの戦術的側面と試合分析のポイントについて解説します。
NBAにおけるプレーの変遷
NBAにおけるペリメータープレーは、過去30年で大きく変化してきました。
1980年代までは、インサイドプレーが中心で、センターやパワーフォワードといったビッグマンが試合の主役でした。
しかし、1990年代にマイケル・ジョーダンやレジー・ミラーといったペリメータープレーヤーが台頭し、外側からの攻撃の重要性が認識されるようになりました。
2000年代に入ると、スティーブ・ナッシュを中心としたフェニックス・サンズが「セブン・セカンズ・オア・レス」と呼ばれる速攻重視の戦術で注目を集めました。
この戦術はペリメーターからの攻撃を多用し、従来の常識を覆すものでした。
真の革命は2010年代に起きました。ゴールデンステート・ウォリアーズが「スプラッシュ・ブラザーズ」と呼ばれるステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの3ポイントシュートを武器に、5シーズンで3度の優勝を果たしました。
このチームは3ポイントシュートの量と精度で歴史を塗り替え、現代バスケットボールのスタイルを決定づけました。
ある統計によると、NBA1980年代のチームの平均3ポイント試投数は1試合あたり約5本でしたが、2022-23シーズンでは約35本に増加しています。この数字からもペリメータープレーの重要性の高まりが明確にわかります。
ペリメータープレーを活かした効果的なオフェンス戦略
ペリメータープレーを活かした効果的なオフェンス戦略はいくつかあります。
- 5アウト
- ピック&ロール
- ドライブ&キック
最も一般的なのは「5アウト」と呼ばれる戦術です。全プレーヤーがペリメーター(3ポイントライン周辺)に配置し、インサイドを空けることで、ドライブコースを作り出します。
この戦術はスペーシングが最大化され、現代バスケットボールで非常に効果的です。
「ピック&ロール」もペリメーターから始まる重要な戦術です。
ガードがボールを持ち、ビッグマンがスクリーンをかけます。その後、ガードがドライブしたり、ビッグマンがロールしてゴールに向かったり、あるいはポップアウトして3ポイントシュートを打ったりします。
様々な選択肢があるため、ディフェンスは対応に苦労します。
「ドライブ&キック」は、ペリメータープレーヤーがドライブし、ディフェンスが集まったところで外側にいる味方にパス(キック)する戦術です。
このサイクルを繰り返すことで、最終的に良い形のシュートチャンスを作り出します。
バスケットボールの戦術書によると、効果的なペリメーターオフェンスを展開するには「ボールムーブメント」と「プレーヤームーブメント」の両方が重要です。
ボールを素早く動かすことで、ディフェンスの態勢を崩し、同時にプレーヤー自身も動き続けることで、ディフェンスに対して常に圧力をかけることができます。
試合観戦時に注目すべきペリメーターの動き
バスケットボールの試合を観戦する際、ペリメーターの動きに注目することで、より深く試合を楽しむことができます。
まず、3ポイントシューターの動きを観察しましょう。ボールを持っていないときにどのように動いて、フリーになっているのかを見ることで、オフボールの重要性が理解できます。
ペリメーターディフェンスにも注目してみましょう。特に優れたディフェンダーは、相手のドライブコースを制限しながらも、シュートには素早く対応します。
また、ヘルプディフェンスのタイミングやローテーションの速さも、チームディフェンスの質を決める重要な要素です。
ペリメーターからのドライブ時には、プレーヤーの頭の位置に注目してみましょう。優れたドライブの選手は常に頭を上げ、パスコースを探しています。
また、ドライブからシュートに移行する際の足の踏み切り方も、フィニッシュの成功率に大きく影響します。
子どものバスケットボールを支える指導者によると、若い選手の試合を観る際は「基本的なスペーシング」を意識して見ることが重要です。
各プレーヤーがコート上で適切に間隔を取れているかどうかが、ペリメーターからの攻撃の成否を左右します。
若い選手ほど「塊」になってしまいがちなので、広がりを持ったプレーができているチームは、良い指導を受けている証拠です。
バスケのペリメーターを理解して上達しよう!実践的まとめ
バスケットボールにおけるペリメーターの概念は、現代バスケットボールを理解する上で欠かせない要素です。
スリーポイントラインの外側とその周辺を指すこの領域は、近年の戦術変化により重要性が増しています。
バスケのペリメーターの基礎知識として、ゴールから離れた外側の領域を表し、3ポイントシュートやドライブの起点となる場所だと覚えておきましょう。
初心者の方やバスケをする子どもの親御さんにとっても、このペリメーターという概念を知ることで試合観戦がより楽しくなります。
ペリメーターディフェンスでは、低い姿勢でハンズアップをし、シュートとドライブの両方に対応できるポジショニングが重要です。
守備の姿勢や位置取りを意識し、チーム全体での連携を図ることで、効果的な守備が可能になります。
ペリメータープレーのスキル向上には、シュート練習、ドリブル技術、オフボールの動きなど、基礎的な技術の習得が不可欠です。毎日のドリルを通じて徐々にレベルアップを目指しましょう。
現代バスケットボールでは、ペリメーターを活かした戦術が主流になっています。
試合観戦の際は、外側からの攻撃や守備の動きに注目することで、より深くバスケットボールを理解し、楽しむことができるでしょう。
ペリメーターの重要性を理解し、その基礎技術を磨くことで、バスケットボールの上達につなげていきましょう。