Categories: ディフェンス

マンツーマンディフェンスは「インライン」を意識してポジショニングしよう

バスケットボールのチームディフェンスには、大きく分けると「マンツーマンディフェンス」「ゾーンディフェンス」の2種類があります。通常は状況に応じて使い分ければ良いのですが、小学生・中学生のカテゴリにおいてゾーンディフェンスは禁止されています。これは、1on1強化を目的とした日本バスケットボール協会の方針によるものです。

よって、多くのプレイヤーがバスケットをはじめる時、最初に経験するディフェンスの戦術はマンツーマンディフェンスです。

このテキストでは、1人のオフェンスに対して1人のディフェンスがマークする「マンツーマンディフェンス」において基本となるポジショニング「インライン」を解説して参ります。

diamond | バスケットボールを遊びつくそう

絵画アーティストと共同制作、子どもから大人まで大人気のパスパンを今すぐチェック!

diamond(ダイアモンド)

ディフェンス用語「インライン」を学ぼう

マンツーマンディフェンスとは?

バスケットボールにおけるマンツーマンは「Man to man」と表記します。直訳すると「男と男」になってしまいますが、英会話レッスンなどで用いられるマンツーマンのように、One on one(1対1)という意味合いがマンツーマンディフェンスにおいては近いかもしれませんね。

5人のオフェンスがコート上でプレーする時、5人のディフェンスがそれぞれ1対1でマークにつくことを指します。

マークマンとは?

マンツーマンディフェンスにおいて、試合中にあなたが担当する1対1の相手のことを「マークマン」と呼びます。試合に出場する際には、コート上のプレイヤーとベンチを含む全員がそれぞれ別の番号のユニフォームを身につける必要があります。選手や監督はその番号でマークマンを確認します。

※ユニフォーム例 全面のみ 背面にも背番号が入る

マークする相手は、試合中にいつでも変えることができます。

また、ボールマン(ボールを保持しているプレイヤー)をマークしている自チームのディフェンスが出し抜かれてしまった時、あなたのマークマンを一旦はなれてディフェンスをすることができます。これをヘルプディフェンスと呼びます。

※左ドライブを仕掛けたボールマンに対して、ディフェンスは2人がかりでゆく手を阻む

ただし小学生・中学生のカテゴリでは、ゾーンディフェンス禁止の観点から、マークマンがコート上の右サイド(または左サイド)側にいる時、逆サイド側にポジショニングしてディフェンスをすることが許されていません。

※ハーフコート上の仮想の中央ラインを跨いでいればOK 両足がボールサイド側を踏んでしまうとゾーンディフェンスとみなされる プレイヤーはすぐにマークマン側のサイドへ戻らなければならない

インラインとは?

「インライン」は、バスケットボールにおける“ディフェンス用語”です。ボールとゴール、またはマークマンとゴールを結ぶ仮想の線のことを指します。

「ゴールライン」と呼ぶ場合もあります。インラインと同義ですが、他のスポーツでもゴールラインという用語が採用されていますので、混同しないように気をつけましょう。

特にマンツーマンディフェンスをする際には、このインラインのポジショニングが大切となります。次の動画でインラインについて確認していきましょう。

【ディフェンス用語】インラインって何だろう?

インラインを相手オフェンスに譲ってしまうことで、スコアされてしまう可能性が高まります。マークマン(オフェンス)の動きに合わせて、インラインを空けないようにポジショニングし続ける必要があります。

ボールマン(ボールを保持しているプレイヤー)をマークしている場合、インラインにポジショニングできていても、マークマンから距離を空けてしまうとシュートを打たれてしまいますので注意が必要です。

インラインを割られてしまうシチュエーション

それでは次に、インラインを割られてしまうシチュエーションを解説して参ります。試合中によく起こりがちなシチュエーションをまとめてみました。

【その1】オフェンスからディフェンスに切り替わる時

自チームのオフェンスが終わったタイミングは、インラインを割られてしまいやすいシチュエーションです。トランジションスポーツと呼ばれるバスケットボールにおいて、オフェンスが何らかの理由(シュートを決める、ディフェンスリバウンドを奪われる、ターンオーバーを起こす等)で終了したタイミングですぐにディフェンスをはじめる必要があります。

特に、レイアップシュートの失敗ターンオーバーはアウトナンバーが起こりやすいシチュエーションとなるため、インラインを割られやすいです。対応策としては、オフェンスをしながら、すでに次のディフェンスの準備をはじめることです。セーフティポジションを確保することや、相手ボールになることが予測できた瞬間にバックコートのミドルレーンまで戻るなどです。

※シュートを放った選手も、リング近くにいる選手も相手ボールになればすぐにバックコートへ戻らなければならない

【その2】オフェンスリバウンドを奪われた時

相手チームがシュートを放った時、ボックスアウトの失敗ロングリバウンドオフェンス側にリバウンドを奪われてしまったシチュエーションでは、インラインを割られてしまうケースが多いです。

「リバウンドを制する者は、ゲームを制す」という漫画スラムダンクのキャプテン、赤木剛憲のセリフは全くその通りで、リバウンド練習は常日頃からしておく必要があります。

ボックスアウトの基本解説

【その3】マークマンから目をはなした瞬間

ボールを保持していないプレイヤーをマークしている時、ディフェンスは自身のマークマンとボールの両方の位置を常に把握しておく必要があります。しかし、マークマンもボールを常に動き続けるため、時に困難になる場合があります。

マークマンから目を切る(目をはなす)とは、ボールの動きに気を取られる余りにボールウォッチャーになってしまったり、マークマンに背後をとられ、見失ってしまう瞬間などが挙げられます。

こちらの動画はオフェンス目線での解説ではありますが、例としてご覧いただければと思います。

ディフェンスの裏を突いてみよう!バックカットの基本解説

ディフェンスは直接視野だけではなく、周辺視野やハンドワークを使いながら、常にマークマンをはなさないように意識しましょう。

【その4】1on1で出し抜かれた時

ボールを保持している、保持していないに関わらず、マークマンの相手オフェンスに1on1を仕掛けられ、インラインを割られてしまうシチュエーションです。

1on1のドリブルスキルで出し抜かれることはもちろん、カッティングを使ってインラインを割られてしまうことも非常によくありますので、ディフェンスは常に集中しておく必要があります。

動いてボールをもらい得点につなげる「カッティング(カット)」を解説します
ダイアくんとモンドちゃん

ボールを持っていないオフェンスをマークする時、どのくらいの距離にいれば良いの?

やまぐちコーチ

良い質問ですね。その距離、実はシチュエーションによって変えなければなりません。
ディフェンスには「1線」「2線」「3線」という用語があります。
1線は、ボールマンに対するディフェンス
2線は、その隣(近く)のポジションにいるオフェンスをマークしているディフェンス
3線は、ボールから離れた場所にいるオフェンスをマークしているディフェンスというように分かれていて、2線は「ディナイ」、3線は「ヘルプディンフェンス」を行うのが基本です。

ダイアくんとモンドちゃん

へぇ~知らなかった!ということは、2線と3線、どの場所で守るかによってマークマンとの距離を変える必要があるんだね?

やまぐちコーチ

その通りです。ただし、2線や3線でも相手オフェンスの特徴によってディナイorヘルプに切り替えたり、フェイスガードといって相手のエースに何もさせないようなすっぽんディフェンスをする場合もあります。これは戦術の話にはなるので少し難しいですね。

ダイアくんとモンドちゃん

ディフェンスも状況によって変化させる必要があるんだね!

やまぐちコーチ

状況に応じて変化させながらも、常に「インライン」は意識しておく必要があります。

まとめ

ディフェンス用語「インライン」は、基本として覚えておきたい知識のひとつです。チームディフェンスをする時の課題のひとつにもなりますので、プレイヤーだけではなく、指導者の皆さまにもぜひご理解いただき、日々のコーチングにつなげていただければと思います。

【用語解説】バスケのアリウープとは?アリウープを成功されるコツも紹介!
・バスケのアリウープってどんなプレーなんだろう?・アリウープはゴールテンディングにならないのか?バスケ初心者や最近バスケを見始めた人は、このような疑問があるのではないでしょうか。バスケのアリウープは、空中でパスを受け取りそのままシュートを決…
試合で使えるパスフェイク!ディフェンスを反応させて得点チャンスをつくるフィニッシュスキル
「ドライブが読まれてしまう」「シュートが読まれてしまう」「パスが読まれてしまう」そんな経験はありませんか?バスケットボールは相手の攻撃や守りを"先読み"して、駆け引きを制する者が勝利を手にします。今、あなたが後手に回ってしまう状況であれば、…
【バスケ】得点力を一気に引き上げる!「ステップスルー」の基本と実践のポイント
得点チャンスを逃していませんか?ドライブでディフェンスを抜いたのに、フィニッシュで止められてしまう——。ディフェンスにプレッシャーをかけられた時、なす術がない。その結果、苦し紛れのシュートや、逃げのパスをしてしまう。あなたにはそのような悔し…
正しいスクリーンとは?イリーガルスクリーンを防ぐための基本理解
バスケットボールのチーム戦術として多用されるスクリーンプレー。試合中、「ナイススクリーン!」というプレーもあれば、「イリーガルスクリーン!」と笛を吹かれる場面もあります。同じように見える動きでも、ルールの理解や体の使い方ひとつで結果が変わる…
【成長期に必要な3つの行動】中学生・高校生でも身長は伸びるのか?
「身長をもっと伸ばしたい」そう思ったことはありませんか?中高生の皆さんは、身長が思うように伸びず不安になることはありませんか?理想の身長に近づきたいと願うことは多くの方々に経験のあることだと思います。このテキストでは、成長期に必要な3つの行…
SKILLQUEST

"選手・指導者・保護者向けバスケットボール総合学習サービス" 大阪を中心に近畿圏内に展開する子どもバスケットボール教室「ダイアモンドバスケットボールスクール」を運営する一般社団法人バスケットボール推進会が監修する、競技普及と育成を目的に発信する新たなプロジェクト。